レンタルオフィスや賃貸オフィスを選定するときに、地震や火災といった災害に対して安全が確保できている施設かどうかといういうことは重要なポイントです。
前回のコラムでは耐震基準についてお話ししたため、今回のコラムでは火災時を含めた安全面の観点でどのような部分をチェックすべきなのか、サービスオフィスSYNTHの視点で解説いたします。
消防法は守られているか
消防法とは建物の火災を予防し、また、有事の際も被害を最小限に抑えるために制定されている法律の事を指します。
2021年12月17日に起きた北新地の放火事件をきっかけに、当時の金子恭之総務相が雑居ビル約3万棟の調査要請を行ったところ、消防用設備に不備があったビルは30%近くにものぼりました。
前回のコラム同様、旧耐震設備のビルや消防法を違反しているビルが未だ多く残っているという事実を知ることがとても重要です。
管理体制と設備は十分整っているか
雑居ビルは不特定多数の人が出入りし、ビル内全てを管理することが困難なことから、常に安全が確保されているとは言えません。
階によって管理者が異なっていたり入居事業者やテナントが頻繁に入れ替わったりしていることで、誰が何のために置いたのか定かでない荷物が放置されることも少なくありません。
避難通路となる廊下や階段、防火扉の付近に荷物が置きっぱなしになっていることで、逃げ道が塞がれて避難が遅れてしまったり、消火活動がスムーズに行えず火災が広がってしまったりする可能性が非常に高くなります。
また、雑居ビルなど小型ビルでは大型ビルに多く用意されている「機械排煙設備」ではなく「自然排煙設備」となっているケースが多いです。「自然排煙設備」は「機械排煙設備」のように動力を使って強制的に多くの煙を排出することができないため火災時のリスクが必然的に高くなります。
利用するフロアだけでなく、その建物の全体の警備と管理がしっかりとなされているのか、例えば24時間警備であるかどうかということも確認すべきポイントになるでしょう。
避難経路を二つ以上確保できるか
非常口階段の位置も確認しましょう。総務省消防庁の令和3年版消防白書によると、令和2年の火災での死亡者のうち、46.9%が、逃げ遅れが原因で亡くなっています。
有事の際に避難経路を確実に把握しているのとしていないのとでは、状況や心理面がまったく異なるでしょう。特に、これまでのビル火災時に被害拡大を防いだ点の一つに「二方向避難」があげられます。二か所以上の避難経路があることで混乱を抑えてスムーズに避難できることから、二方向避難は欠かせません。必ず、非常階段が二つあるかチェックしましょう。
適正なドアの開閉方向か
多くのレンタルオフィス施設は複数の個室が連なっており、避難時には扉が同時に開かれることが予想されます。すべての扉が外開きだった場合、どうなってしまうでしょうか。
廊下のスペースがドア部分で占領されるため通り道が狭くなります。つまり、オフィスのドアは内開きであることが望ましいと言えます。扉が外開きであれば個室内の占有スペースが狭くなるように感じられますが、有事の際に安心・安全なのがどちらかは一目瞭然です。
最後に
ビルに法的な違反がない=安全とは言えません。なぜなら、現在も既存不適格という形で、現行法規に適合していないままのビルが多く存在するからです。
建築当時の法律は遵守していたものの、法改正後に法不適合になってしまったものがこれに当たります。しかし、どのビルが既存不適格に当てはまる可能性があるのか一目では分からないため、少なくとも身の安全を守るために、価格面だけではなく上記3点は必ずチェックすることをお勧めします。
サービスオフィスSYNTHでは、お客様に快適な作業環境やサービス、空間としての価値を提供するだけでなく、安全な環境をご用意しております。
ぜひ、当施設への見学をお待ちしております。
《参照》
総務省消防庁 報道発表 「大阪市北区ビル火災を受けた緊急立入検査の結果」
https://www.fdma.go.jp/pressrelease/houdou/
総務省消防庁 刊行物 「令和3年版 消防白書」